授業で扱って良いもの悪いもの

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こんにちは。

burikoです。

 

日本には9年間の義務教育がある。

高校に進学すればさらに3年間学校で勉強する。

学校でいろいろなことを学んで、みんな社会に出る。

 

学校のことを考えると、いつも思うことがある。

 

学校の授業で、何を学ぶべきか。

何を学んで、社会に出るべきなのか。

 

この問いに答えるのは簡単ではないが、みんなで考えなくてはならないことだと思う。

「学校で何を学ぶべきか」という問いに、最前線で立ち向かっているのは学校の先生だ。

学校の先生は、日々試行錯誤して、授業で何を扱うか考えていると思う。

 

話は変わって、皆さんはトロッコ問題をご存知だろうか。

私はトロッコ問題にまつわる話を聞いて、授業で扱って良いもの悪いものがあることを知った。

 

学校での授業をデザインすることは、決して簡単なことではない。

 

目次

トロッコ問題

 

トロッコ問題をご存知だろうか。

■トロッコ問題とは

トロッコ問題(トロッコもんだい、英: trolley problem)あるいはトロリー問題とは、「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という形で功利主義と義務論の対立を扱った倫理学上の問題・課題。

フィリッパ・フットが1967年に提起し、ジュディス・ジャーヴィス・トムソン(英語版) 、フランセス・キャム(英語版)、ピーター・アンガー(英語版)などが考察を行った。人間は一体どのように倫理・道徳的なジレンマを解決するかについて知りたい場合は、この問題は有用な手がかりとなると考えられており、道徳心理学、神経倫理学では重要な論題として扱われている。

■概要

前提として、以下のようなトラブル (a) が発生したものとする。

(a) 線路を走っていたトロッコの制御が不能になった。このままでは前方で作業中だった5人が猛スピードのトロッコに避ける間もなく轢き殺されてしまう。

そしてA氏が以下の状況に置かれているものとする。

(1) この時たまたまA氏は線路の分岐器のすぐ側にいた。A氏がトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。しかしその別路線でもB氏が1人で作業しており、5人の代わりにB氏がトロッコに轢かれて確実に死ぬ。A氏はトロッコを別路線に引き込むべきか?

なお、A氏は上述の手段以外では助けることができないものとする(置き石その他の障害物で脱線や停止はできないものとする)。

参考:Wikipedia

 

トロッコ問題は、マイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』でも扱われていた。

 

先日、「5人と1人どちらを助ける? 小・中学校で出題された「トロッコ問題」めぐり賛否の声」という記事を読んだ。

 

この記事の出来事をまとめると、以下のような内容である。

 

・小学校中学校の「心理教育プログラム」としてトロッコ問題を扱った

・この授業のねらいは選択に困った時に周りに助けを求める大切さを教えることで、トロッコ問題の回答は求めなかった

・授業後、保護者から「授業で不安を感じている」と苦情が入った

・学校側は一部の子どもに不安を与えたとして謝罪した

 

ある先生の体験談

 

高校で理科を教えている先生から、授業でトロッコ問題を扱ったときの話を聞いたことがある。

彼の話を聞いたとき、私はすごく考えさせられた。

その内容を、一部修正してお伝えする。

 

トロッコ問題を考える生徒

 

A先生が勤めている学校は、学習に対して意欲的でない生徒が多かった。

理科の分野について教えていても、ただ座っているだけ。

A先生は、授業の時間を生徒が時間が過ぎるのを黙って耐えているように感じたらしい。

 

「彼らにとって、この時間は決して有意義なものではない」

 

A先生は、生徒にとって有意義な時間にするためにどうしたら良いかを考え始めた。

 

A先生が普段の授業で大切にしているのは「頭を使うこと」。

ただ計算してもらう。

ただ用語を覚えてもらう。

そうではなくて、様々な現象を通して「なぜそうなるのか」と自分の頭を使って考えて欲しかった。

 

自分で考えることが、社会に出て必要になる。

しかし、理科に関することでは生徒は全く興味を示してくれない。

 

そこで、A先生は生徒が興味をしてしてくれる題材として「トロッコ問題」を扱うことにした。

 

トロッコ問題はとても有名で、生徒の中に知っている者がいるかもしれない。

誰もが直面する”死”に関係するもので、生徒に1度真剣に考えてもらうのは良い機会にはず。

選択肢が2つなので、わかりやすい。

 

 

ねらいは、自分の考えを文字として論理的に述べること。

また、その難しさを体感してもらうこととした。

 

 

トロッコ問題の答えを議論するのはねらいとズレそうだ。

よって、自分の考えをワークシートに書いてもらうことにした。

 

その授業を実践した結果、生徒はこれまで見たことがないほど自分の意見をワークシートに書いてくれた。

「もし1人が自分の家族だったら、ポイントを切り替えることができない」など、最初の問いと違う条件について考え出す生徒もいた。

これはすごく理科的にも大切な考えだ。

次の時間で「条件が変われば、結果も変わる」ことを伝えようとA先生は考えていた。

 

 

トロッコ問題を扱うことで、A先生はねらいは達成できたと感じた。

何より、普段は座っているだけのような生徒が、しっかり考えることができた姿を見ることができて嬉しかった。

 

トロッコ問題でなくてもいい

 

A先生はトロッコ問題を扱った授業後、B先生と管理職の先生に呼ばれた。

A先生が授業をしているとき、たまたまB先生が巡回していてトロッコ問題を扱っていることを管理職に報告したようだ。

 

2人の先生から「トロッコ問題を扱うのは良くない」と言われた。

 

理由は2つ。

保護者からクレームが来る

学校の授業で扱うものではない

 

A先生は納得がいかなかった。

トロッコ問題を扱ったねらいと、保護者から何か言われたときには説明はできると伝えた。

 

2人の先生は、ねらいについてはよく理解してくれた。

しかし、トロッコ問題は良くないとのことだった。

 

管理職の先生はA先生にアドバイスをくれた。

トロッコ問題でなくても、そのねらいは達成できる。

 

逃げ場のない授業

 

私はA先生の話を聞いて、考えたことがある。

 

学校の授業において、生徒は授業から逃げることはできない。

 

国語がやりたくないから、教室から出る。

基本的に、そんなことはできない。

 

トロッコ問題は、いくら学びがあるからといっても、わざわざ考えたくない生徒もいるだろう。

でも、授業で扱われると嫌でも耳に入ってくる。

学校の先生は、そのことを理解した上で題材を設定しなければいけないと思った。

 

それって、すごく難しいことだ。

わざわざ考えたくないことを考えるからこそ、学べることもあるだろう。

 

 

発達段階に応じて、題材を設定するという考え方がある。

例えば、性教育はその年齢に適した内容が設定されている。

では、トロッコ問題どの発達段階で扱って良いものなのか。

 

これを判断するのも、すごく難しい。

小学校では、適さない気がする。

冒頭でもお伝えした通り、マイケル・サンデルが大学の授業でトロッコ問題を扱っている。

高校生はどうなのか。

そもそも、発達段階なんて人によって違う。

高校生だから全員大丈夫とは言えないし、思考実験と割り切ってガンガン考えられる高校生たちもいるだろう。

「発達段階に応じて」という視点では、扱って良いか悪いか判断することは難しい。

 

 

トロッコ問題を扱うねらいを、生徒もしっかり理解していれば良いのか。

ねらいを理解していても、考えるのは嫌な生徒はいる。

 

 

色んなことを考えると結論を出せそうにないが、忘れてはいけないのが、彼らに逃げ場がないことだ。

 

正解のない授業

 

トロッコ問題に限らず、学校の授業で何を扱うべきかには、正解はないのかもしれない。

B先生が教えてくれたことを思い出した。

 

B先生は少し前に、公開授業を行ったそうだ。

見学してくれた先生方とフィードバックを行ったとき、「このやり方もある」とアドバイスをしてくれた。

そのとき、痛感したらしい。

 

どんなに準備をして良い授業をしても、違うアプローチの仕方がいくらでもある。

 

その通りかもしれない。

たった1つの方法が正解なんてことはない。

ねらいを達成するための方法なんていくらでもある。

 

なぜ、先生がその題材を選んだのかは、少し授業を見学したくらいではわからないのかもしれない。

その題材を選んだのは、先生と生徒のこれまでの関わり方も影響しているだろう。

先生が目指す目標の1つのステップとして、その題材を選んでいるのかもしれない。

 

正解は1つじゃないけど、その先生が本気で考えたものなら、それが正解だと思う。

 

まとめ

 

授業で何を扱うべきか。

良いものと悪いものを判断するのは難しい。

 

今回考えたことを通して、思ったことがある。

 

本気でやっている先生は、それだけですごい。

 

A先生は良かれと思ってトロッコ問題を扱って、良くないと言われてしまったけれど、私はすごいと思う。

そうやって、生徒のために本気で考えて、本気で失敗してる先生って、本当に素晴らしい。

私も子どもたちのために、できることは本気でしていきたい。

 

 

 

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