隣の部屋から◯◯◯声が聞こえてくる夜。

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先日、

仕事で地方に1週間ほど

出張に行ってきた。

 

出張って、

何だかワクワクする。

 

見知らぬ土地で、

誰も知り合いがいない環境。

1人で生き抜かなければならない。

サバイバル。

 

何が起こるかわからないスリル。

ちょっとした不安。

これが人を興奮させるんだろう。

 

そう。

きっと、私たちはサイヤ人なんだ。

強い敵と対峙した悟空がよく言っていた。

「オラ、ワクワクすっぞ。」

 

こういうことなんだろう。

 

 

出張中の宿泊先は、

新幹線が停車する駅チカの

ビジネスホテルだった。

 

チェックインしようと思ったら、

周りは海外の方々ばかり。

今の日本は、どこもかしこもインバウンド。

 

私が宿泊していたホテルには

毎日海外の方々の

ツアーバスが到着していた。

 

天井が高いロビーを見て、

子どもがはしゃいでいる。

その様子が愛おしいペアレンツは

「写真を撮りましょう。」

と記念撮影をしている。

 

私から見れば、

ただのビジネスホテルのエントランス。

「日本への旅行」というフィルターが、

目に映る全ての景色を

キラキラさせているようだ。

 

それにしても、

海外の方は、写真を撮られるのが上手い。

少し半身になったり、

ちょっとした出っ張りに肘を置いてみたり。

あのポージングセンス、

私は持ち合わせていない。

ピース一択。

 

 

その日の仕事を終えて、

宿泊しているホテルの部屋に戻ってきた。

 

部屋のテレビをつけると

ホテルの施設紹介の映像が流れている。

 

いつも疑問に思うことがある。

 

「有料チャンネルをご利用の方は

エレベーターホールにあるカードをご購入ください。」

 

有料チャンネルでおピンクな映像を見られることは知っている。

なぜ、ビジネスホテルには

この機能があるのだろう。

 

ビジネスマンは

仕事を終えて部屋に戻ってくると

ムラムラしていると言う前提なのか。

 

今、

この時代に有料チャンネルの需要が

どれだけあるのか。

 

「私にはネトフリがあるわい!」とイキリながら、

ホテルでの夜を穏やかに過ごしていた。

食後のコーヒーなんか飲んじゃったりして。

 

明日も仕事で朝が早い。

そろそろ寝るかと準備を始めた。

 

すると、どこかの部屋から

声が聞こえる。

 

何を言っているのかわからないが、

とても甲高い声だ。

子どももいっぱい宿泊しているようだし、

きっとベッドの上ではしゃいでいるのだろう。

 

可愛いじゃない。

 

そんなことをふわっと思いながら、

歯磨きをしようと思って、

洗面台のあるユニットバスに向かった。

 

すると、

先ほどの甲高い声が聞こえた。

ベッドがある部屋より、クリアに。

その声は子どもではないことはすぐわかった。

 

女性の声だ。

そして、一定のリズムで声を発している。

 

おやおやおや。

隣の部屋から喘ぎ声が聞こえるよ。

 

うん、間違いない。

 

こんなことって、

本当にあるんだ。

 

喘ぎ声だと気づくと、

もうそれにしか聞こえない。

 

anan。

 

あちゃー。

もうちゃんと聞こえる。

 

こんなとき、

皆さんならどうしますか?

 

私は、

壁をトントンしてやろうかと

頭によぎった。

 

トイレの個室をトントンするのと一緒。

「隣の部屋の者ですが、聞こえちゃってますよ。」

これを伝えてあげたい。

 

でも、

何だかデリカシーがない気がしてやめた。

 

私の部屋の空間に広がる

艶っぽい声色「anan」。

 

40歳すぎでよかった。

これが高校生とかだったら大変だっただろう。

壁とかに耳を当てちゃってたかもしれない。

廊下に飛び出して、

声が聞こえる部屋の前に立ってたかもしれない。

思春期とはそういうものだ。

 

あっ。

そうか。

こういうときのために

有料チャンネルがあるのか!

 

隣から聞こえる喘ぎ声に触発されたら

有料チャンネルで落ち着けと。

まさか、ここで有料チャンネルの存在意義が判明するとは!

 

はっ!

待てよ!

 

この声って、リアル女性じゃなくて

有料チャンネルの声なんじゃないか。

 

隣の部屋の男性が

爆音で有料チャンネルを見ているだけなんじゃ・・・。

 

なーんだ。

そう思うと、慌てることでもないな。

 

いくら隣の部屋だからって

リアル女性の声がそんな簡単に聞こえるわけないですもんね。

隣の部屋まで聞こえるためには、

壁際で声出さないと絶対m・・・

 

 

壁際でしてんのかっ!?

 

 

・・・

いかんいかん。

いつの間にか色々想像しちゃってる。

 

人間の想像力とは恐ろしいもの。

真実はわからないのに、

こっちの感情が

勝手に揺さぶられてしまう。

 

明日も朝から仕事だ。

 

止めどなく押し寄せる喘ぎ声を聴きながら、

私は寝る準備をした。

テレビを消し、部屋の照明を消した。

 

 

anan。

 

 

いよいよ、しっかり聞こえる。

もう同じ部屋にいるも同然だよ、コレ。

 

 

よし。

悟りを開こう。

 

好きな人同士で愛を育めるなんて

幸せなことじゃないか。

平和だからこそのこの状況だ。

 

 

anan。

 

 

素晴らしい。

日本はなんて平和n

 

 

anan。

anan。

 

 

激しいな。

まぁ、でも平和だからか。

 

 

anan。

anan。

anan。

 

 

オッケーわかった。

もうこの声を子守唄だと思おう。

 

 

anan。

anan。

 

 

・・・

 

 

チュンチュン。

 

 

えっ。

気づいたら朝でした。

 

 

どうしよう。

すっごい寝つき良かった。

最高の子守唄でした。

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